TopIto, Yoko 伊藤 洋子

Yoko's poem works

伊藤 洋子 の 詩

odd-eye (1987)

*** 当作品は、別の版が存在します。参考資料として、以下に掲載してあります。

odd-eye (2006)


彼女の家を出て自宅へ帰る途中
屏の上をちょこちょこ歩いてる
その姿を見た時
眠気が一遍にとんでしまった

右は青 左は茶色 不揃いの瞳
どうして誰も気づかなかったのかな
お前の良さに

逃げて行かないでくれ
と言うまでもなく
迷わず僕を選んだ

あぐらをかいた僕のひざの上で
体を丸めて眠る
僕はそっと頬ずりをする
暖かい場所で眠っていることが
お前の一番の幸せなんだね
僕のひざと限らず
置いてくれる奴なら誰でもいいのさ
すべてわかっていながら
僕はお前を手放せない
手放す方法を知らない

僕がいない日は
柿の木をするする登って行く
雨が降っても平気の平左
誰もいないことに慣れている

右は青 左は茶色 不揃いの瞳
自分の良さに気づいていない
お前

爪を出すなとは言わない
僕の心を見抜いて
顔中ひっかいてもかまわない

雨と泥で汚れた体を
耳に水が入らないように
注意しながら僕は洗ってふいてやる
人の姿が見えることによって
お前は安心できるんだね
僕と限らずに甘えられる奴が
お前に一番必要なんだね
すべてわかっていながら
手放す機会がない

僕が車で遠出をする日
君は舞台から くるりと回って降りた
滲みる雨 無駄なスポットライト
言いたくないよ その後は

右は青 左は茶色 不揃いの瞳
さがしたところで
そう簡単には見つからない

足元に来て体をすりよせてくれ
のどを鳴らしてくれ
そんな台詞がどうしても伝わらない

お前の残した爪の痕が
壁に柱に僕の体に
ちょっと残ってしまっているよ
そしてお前の匂いも
目を閉じて安心して任せられる場所が
僕の家と限らずに
お前にはきっとあるのさ
すべてわかっていながら
僕はお前を手放せない
お前は僕から放れていく
右は青 左は茶色 不揃いの瞳
お前は僕から放れていく

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