つないだ手を
急に
ほどかれて雨
濃く塗りすぎた
六時の中から
母の匂いをさがす
ナンテンの木の中に
わたしたちは住んでいる
母は毎日
夕暮れになると丘へ上り
飛んでくる獏を
弓矢で射っている
まつげを上下させて
片足を氷の床におろすだけで
ナンテンの木は
環七の向うへ押しのけられて
残るものといったら
知らない家の笑い声
急ブレーキの音
屋台のラーメン屋
獏の肉を獏の肉とわからないで
毎日
少量ずつ食べてきた
祖父も父も姉も食べてきた
中川と江戸川を越えた先
獏は飛び続けているだろう
わたしよりも小さい体で
母は弓矢を持ち続ける
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