TopIto, Yoko 伊藤 洋子

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伊藤 洋子 の 詩

Yoko's monthly poem

今月のピックアップ


[Kaya Tree]
[カヤのキ]

榧の木

 

 

納豆が追いかけてくる

黒いマスクをつけた女の姿になって

スカーフなどかぶって

食卓に出される度

ちゃんと食べていたのに

 

 ちくしょう。よくもネギの代わりにショウガなんか使
いやがったな。お待ち! どこまで逃げても無駄さ。お
前の行けるところなんてたかが知れている。ほら、ごら
ん。わたしの爪は長ーく伸びて赤い。お前のねまきの色
なんかと比べ物になりゃあしない。その白いうなじに突
き刺さることによって、また新たなる赤が現れるのさ。
さあ、覚悟 !!

 

赤いネルの着物を着た少女

どこまでも逃げる

ふすまの向こうは

父母 (ちちはは) の眠る部屋

窓から見える榧の木が

かすかに揺れている

ふすまをあける

畳いっぱいに散らばっている

コンペートー

真夜中だというのに誰もいない

押し入れの中にたたんである

ふとんは温かい

 

納豆女が駆け込んできて

足首をつかまれる

コンペートーを投げつける

足首に血がにじむ

うなじよりも先に

納豆女は目を押えて倒れる

マスク

スカーフ

着ている洋服

全部はぎとって

榧の木の方まで

引きずっていく

 

彼女の肉体は

部屋に散らばっていた

コンペートーよりも

小さくなってしまった

少女は

赤くとがった爪だけを

ハンカチに包んだ

歩いているうちに

最後の赤が

彼女の着物を汚した


histoire of [Yoko's monthly poem]

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  Yoko's new poems 伊藤 洋子 の 詩
新作 速報
       
0007 魍魎 (すだま) のいる3月          
0006 稲妻よこばい          
0005 享楽          
0004 粉雪(ゆき)          
0003 寝床に雪が降る          
0002 水の棺          
0001 窓は紫色          
  Yoko's monthly poem 伊藤 洋子 の 今月の 詩        
0068 如月夜話

Almost poetical works of Yoko till 1998

[伊藤 洋子 大全 1998]

では、そのラストを飾る 大作 です。

       
0064 泰山木の花          
0060 午後6時          
0037 紙風船          
0034 地図          
0029 蝸牛のララバイ   散文詩      
0023 カエル          
0022 カヤのキ / 榧の木          
0017 矛盾          
0012 寄生するヒーロー   散文詩      
0011 帰還          
             

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Almost poetical works of Yoko till 1998

[伊藤 洋子 大全 1998]

 

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[伊藤 洋子 大全 1998] から 毎月 1作 ずつ 紹介します。

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