ざらついた小さな手
鉛筆の下の方を軽く握ってみる
冬が終わるまで33歳
地下鉄飯田橋 定期券売場
長方形の真っ白い紙のうえ
静かに生まれてくる
幾人めかの私
春も夏も秋も
緑の中で眠り続けるあなた
最初で最後のお願いです
今度目覚めたら
その細い指で
殺めてください
私を
10年間ずっと待っていました
あなた写真を実家に置いてきたまま
あなたの姿
この目で見られる時を
母はかつて元気でした
あなたが胎内(おなか)にいる時
屋根にのぼったほどでした
彼女の体調が変わってきたのは
私を妊(はら)んだあたりからです
あなたに葬られることによって
わたしたちは他人になるでしょう
初めて姉妹になれるでしょう
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