TopIto, Yoko 伊藤 洋子

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伊藤 洋子 の 詩

空が青い夜
わたしは駅まで歩く
流されていく雲
こんな空の色をあなたは気づいていましたか?
子供の頃一緒に星を見たことはあったけれど
青い空は見たことがありませんでしたね
あなたが一人でいる時はどうでしたか?
わたしがこの空の色を初めて見たのは
四年ほど前の夏
友人と本郷のあたりをゆっくり歩いている時でした
週の真ん中であったのに翌日のことも気にしないで
本当にゆっくりと駅まで歩いていました
一緒に歩いて二人で同じ物を見るだけで満足する
なんてその人は言っていた
一緒に歩く
同じ物を見る
でも それは言葉の上だけのこと
その人が一緒に歩むべき人は既にいた
わたしたちは同じ物を見られる筈はない
朗読会をやる度 その人は来てくれた
作品を通してわたしの家族というものも少しわかった
わたしの生まれた家の方に行ってみたいと言っていた
あなたとその人が話せないことが
残念でたまらなかったあの頃は
あなたはおそらく何もかも見ていたのでしょう
現在わたしとその人が電話すらもかけあう
こともできなくなってしまったのを
わたしはせめてその人が健康で良い作品を創り続けて下さいと
願うしかない
あの人の受けた傷はもうどうしたって消えるわけはないんです
憎み続けて下さい
わたしはあの空の色をいつか手に入れたいと思っています
あなたの手によって葬られる前に

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