霜月
閉ざされることのない
みっつの空洞
透明な犬たちは
そのなかで
もっとも冷たい場所を
ひとつだけ選んで
しっぽを振りながら
滑っていく
わたしは
不動で無言の墓地
他では
引き取れない
透明な犬たちのなきがら骸
速やかに埋葬するだけの
小さな墓地
知らない町で
いまだに
透明な犬たちを
生み続けている
あなた
おびただしく
増えていく
透明な犬たちの骸(なきがら)
酸っぱい遠吠えが
もし
あなたの耳に届くなら
空が白い時だけ
花
と
水
を
持ってきて下さい
朝から晩まで
同じ夢ばかり
喰べ続けている
不動で無言の墓地
霜月に奪われた
あなたの姿が
炎になって
再び
近づいてくる
時を待つ
list |
---|
伊藤 洋子の詩 |
poem |
---|
詩 |
Top | events | Yoko |
---|---|---|
Ma_ho_Ma_ho_Family まほまほファミリー |
今後の活動 今までの活動 |
伊藤 洋子 詩人 |
navi » サイト内ナビ