保土ヶ谷の叔父から買った
二色刷りの
ミッキーマウスの本は
引っ越してまもなく
盗まれてしまいましたが
あなたが買ってくれた
薄桃色(うすももいろ)の湯呑みは
もうすぐ四つになる
娘が使っています
彼女はもちろんのこと
酒好きな男たちも
まだ眠っています
ゆずりあえない
下総と上州の血は眠っています
三十以上の年の隔たりが
いっそう拍車をかける
わたしの中で
あなたの元気な姿しか
残っていないように
あなたの中でのわたしは
和裁の好きなおさげの娘
でも
わたしの体の奥では
温かい塊が
予定日をとっくに過ぎても
棲み続けている
あした あさって
永遠に姿を見せないつもりなのだ
わたしがこの家から離れないように
空が曇ってくると
胸が痛む
あなたも知っていた
九月の地底から息を吹きかえす
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