父親に断りもしないで乗ってきた自転車
ほこりまみれの階段の下に停めてある
風も吹かない午前四時
酸っぱい闇の中
電車嫌いの白い腕が
わたしの首をしめる
体のどこを刺しても
アルコールしか流れていない
十八歳
その白い背中
ほんの少し前迄さすってあげていた
父親が目覚める前に
四つ木橋を渡って
工場街へ帰るつもりでいた
足の裏はいつも紫色
切り離された二本の指
床に散らばった髪の毛を拾う
朝を待つ少年の白い背中が川になる
下腹部の膨張したわたしの体は
六畳の川から荒川へ流されていく
通りすがりの舟人たちに
気づかれることもなく
流されていく
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