TopIto, Yoko 伊藤 洋子

Yoko's poem works

伊藤 洋子 の 詩

法事の翌日

障子張りを手伝い終えた老爺
[大岡越前]の再放送に
向かって目を細めている
鳥打帽子の下は
すっかり滑らかになった
花もりっぱだ
写真も良く出来た
おれも死んだらこんなふうに
やってもらいたい
家で切手や葉書を売っていた頃
お正月になると毎日買いに来た
離れに住んでいるとはいえ
八十をとっくに越した人間が
こんな大雨の午後
二時間以上
姿を消しているというのに
むかえにも来ない
電話一本かかって来ない
電話帳の名前はとっくに
息子の方になっている
七年間寝こんでいた
つれあいを亡くし
多少 耳と足が弱まり
晴れた日は
おやつを詰めた車を引っ張って
話相手を探し歩く
おう
いだか? ああ
或いは
いまなんじになろか?
特定の人に向かってというより
半分はひとりごとのようでもある
二十分ほど電車に乗って行った先に
同じ位の年の老婆がいる
彼女の血はまわりまわって
わたしに注がれている
整骨医院に通うようになって
友達が増えたらしい
家族の中でひとりだけ
煙草を吸っている
好き嫌いが激しい

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