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伊藤 洋子 の 詩

摩天楼

霧に包まれた街が
遅い朝を迎えては
誰かを突き放していく

少年たちはそこに集まっては
セピア色の地図を破り捨てる
大人たちは狭い道を歩くたび
口笛のようなひとりごとをつぶやく

街は追いかけられていると
気づく前に もう
抜け出す準備を始めている

子供たちの歓声がいつも
空いっぱいに響きわたる公園
もし そばを通る人がいたら
その多くはきまぐれな役者たち

街は自由に誰かの心の中を
乱れさせた後 目を閉じて
幼な顔になっていく

アスファルトの上に放り出されても
まだ輝いている指環を手にとり
人は言う
〝小さな愛を見守っていたのは
月と仔猫だけだった〟

鏡のフロアを素足で伝う私
ベランダにもたれながら
遠くを見つめるあなたに
何かを話しかけてみたい

マンションの外は嵐の前の静けさ
去年のあなたが車を停めて
ドアの向こうで 私を呼ぶ
同じ夢を見られなくなって三年




足元に散らばっている
ブルーの花びらを寄せ集める私
あなたのそばへすわるけど
話す言葉はひとつだけ

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