見つめ合うのは春の丘
ふたりを包む黒い影が
大地に向かって吸い込まれては
どこまでも続いていく
たんぽぽが沢山咲いているのに
氷の溶けない河もある
あなたを逃がして
わたしを掴(つか)まえて
新しいドラマが始まるという
静かすぎる夏の部屋
夢魔がたぐり寄せる妖しい糸
まわっていく 数々の嘘物語
醒めそうにない悪酔い気分
まだ泳げる海なのに
雪が見たくなるのは悪い癖
あなたを残して
わたしを攫(さら)って
初めて夢が叶うという
最後に来たのは秋の夜
暗闇の中で鳴く青い鳥
疑うことの勇気より
溺れることを選んだふたり
生まれたばかりのこおろぎでも
霜が降りる日を知っている
あなたを離して
わたしを追って
地球が動いているという
*** [掴まえて] の字は、本当は手偏に [國]。
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